2000人の狂人(マニアック2000)とウィッカーマンをベースに、ドッグヴィルを作った感じかな。はっきりこれはドッグヴィルなんだってわかるシーンも挿んであったしね。
表面とポイントにキューブリック作品、個人単位のディレクションで特に時計じかけのオレンジとフルメタル・ジャケット。そこにモチーフとカットはホドロフスキーというか、ホーリー・マウンテン。そしてパゾリーニで整えましたって感じ。
たとえばただの山やちょっとした田舎ですら法律の外みたいな側面があるんだから、あそこで起こっていることは外部から来た者がとやかく言うようなものじゃないんだよね。
だから、特に嫌悪感は感じなかった。ドッグヴィルの方が、ラストのためとはいえ執拗で好みの面でいうと苦手だね。よく出来てるし面白いとは思うけど。
そしてダンサー・イン・ザ・ダークは鬱映画ではなく、過不足ない完璧な映画。逆にラストがあれじゃなかったら、それまでのすべてに意味がない。
なんでアニメのオタクの人にもこんなにウケてるのかなと観る前は思っていたのだけれども、ウケる要素多かったね。
その若さなら変なもん吸わされなくても勃つでしょと思ったらめっちゃ緊張する場面だったり(集団でババアの裸を見せないで)、中に出した後の女側の細かい動きとか、男側のちゃんと破瓜の血で赤くなってるのとか、ちょっとしたところまで拘りが感じられてよかった。
「本当にやってる」っていうと、多くの人が真っ先に浮かぶのは氷の微笑、口でだけど映画好きの人ならブラウン・バニーのクロエ・セヴィニーや、そういう感じじゃないけどピンク・フラミンゴとか浮かぶかな。
恋愛面でいうと、もうとっくに別れていなくちゃいけない状態なわけだけど、ああならないためには、ああなってしまった時には、大事なのは信じること、知ろうとすること、受け入れること。まずは自分から先にっていうのが大前提。
この作りでこんなに話題になったのは、特に新しくない昔からのものを今やるってのと、視点を変えたり、着眼点がよかったと思う。
表面上の画的な意味じゃなくて、画面の作りを濃くし過ぎないことで、没入感と同時に圧倒的な他人事として描いたセンスとバランス感覚もいい。
キービジュアルとして使われているようなものと本編の主に前半との対比からもわかると思うけど、本質的に扱っているものは普遍性、普遍的なものなのだよ。
観てすぐは映画の作りと恋愛観、そしてメンヘラに関する感想が主に出てきたけど、面白かったです